コーヒーお好きですか?〜副腎疲労との関係〜

 私は数年前までコーヒーが大好きでした。

最初は1日1杯程度であったのに、年々飲む量が増えて気がつけば3〜4杯飲むようになっていました。
カフェイン依存末期の頃には、休日には6〜7杯飲んでいたこともあったと記憶しています。

毎日2杯以上飲んでいる、特に朝一番にコーヒーがなければ1日が始まらないと言う方は、副腎疲労を疑ってください。

1・看護師と副腎疲労

 「副腎疲労」これは正確に言うと「HPA軸の変調」のことを言います。
HPA軸とは視床下部⇨脳下垂体⇨副腎皮質軸 (hypothamic-pituitry-adrenal axis: HPA軸)の略語です。

 脳の疲労によって副腎に適切な命令が下されないことで、最終的に副腎皮質から分泌されるホルモンに障害が起こることを指します。

 副腎皮質ホルモンの中でも、ストレスフルな現代社会を生きるうえで大事なホルモンが、「コルチゾール」です。

 このコルチゾールが分泌され過ぎたり、分泌されにくくなったり、日内変動に乱れが生じる状態を、「副腎疲労」と呼んでいます。

 コルチゾールは、血圧や血糖値を維持して、体内の炎症にも抗う、現代人のストレス耐性に非常に重要なホルモンです。

 コルチゾールの分泌は、朝の8時頃に最高になり、夕方にかけてどんどん出なくなり、夜はほとんど出なくなるのが正常な日内変動です。

2・副腎疲労を疑う症状


・とにかく疲れる、疲れが取れない。 
・やる気が起きない。
・朝起きるのが辛い。
・体が重い、だるい。
・めまいがする。
・記憶力・集中力が低下した。(本や説明書が読めない。)
・頭が働かない。靄がかかった感じがする。
・うつ状態。
・楽しみや喜びが少ない。
・楽しいことをしていても疲れる。
・動悸がある。
・眠れない。
・パニックを起こしやすく、緊張しやすい。
・ストレスに対処できない。
・ストレスがあると風邪を引いたり寝込んだりする。
・風邪を引きやすく、治りが悪い。感染症に罹りやすい。
・アレルギーがある。炎症を起こしやすい。
・甘いものが好き。

・甘いものと塩辛いものを交互に食べ出すと止まらない。
・月経前症候群(PMS)がある。

副腎疲労初期には
・ゆっくりできない。(リラックスが苦手)
・聞かれもしないのに自分の健康を強調する。
・毎日充実している。
・早口。
・早食い。
・体をあちこちにぶつける。(注意散漫。)
・カフェインや砂糖の摂取量が増え出す。
・疲れや怪我があっても高強度のスポーツはやめられない。

などなど。
一つでも当てはまれば副腎疲労の可能性があります。

 コルチゾールは、夜に出ないことが大事です。

 理由は、HPA軸を休ませるということと、病気にならないためです。

 コルチゾールが分泌されると、自律神経のうち、「交感神経」が活性化されます。

 夜に寝ないで活動すると、日中から続くコルチゾールの分泌によって、交感神経優位が継続してしまいますので、副交感神経とのバランスが取れなくなり、自律神経が乱れます。

 夜勤に従事していると、一日中コルチゾールが分泌されてしまうことになるのです。

 そしてやがてコルチゾールホルモンが分泌ができなくなっていきます。(副腎疲労の進行)

3・カフェインと副腎疲労の関係

 副腎疲労によってコルチゾールの分泌がうまく行かなくなると、脳はHPA軸でコントロールすることを諦めて、交感神経副腎系を動かしアドレナリンで代償します。

 アドレナリンを分泌しようとする場合に、コーヒー(カフェイン)を摂取することは最も有効な方法です。コーヒーの場合、摂取後数秒でアドレナリンを分泌することができます。

 低コルチゾールでは心身共にとても不快になりますので、コーヒーを摂取してカフェインを得て秒でアドレナリンを出し、体の動きもメンタル的にも上げようとするのです。

4・アドレナリン依存

 アドレナリンは適切に分泌されている時には、集中力が高まったり、肉体的にもパフォーマンスが高くなります。

 副腎疲労では血圧や血糖値のコルチゾールでの維持が難しくなっていくので、空腹になるたびにアドレナリンを使う状況になって行きます。

 このように日に何度もアドレナリンに頼った生活となると、アドレナリンの不利益も受け取ることになります。

 私のクライアント様達は、アドレナリンの影響を受けなくなると、メンタル的に穏やかになったり、のんびりできるようになったり、眠りの質が良くなったり、不安感が消失したりしています。

 コーヒー以外でもアドレナリンを分泌することができます。

 例えば、運動、人に会う、買い物、旅行、怒るなどの、興奮が伴う活動です。

 疲れていても風邪を引いていてもランニングを欠かせないとか、夜勤明けでも家に帰る気分になれず友達を誘ってお買い物やランチをしたり、連休があると疲れていても家でのんびりすることを選ばず、旅行の予定を入れるとか、大したことでもないのにすぐにイライラするなんて人は、実はアドレナリン欲しさの行動かもしれません。

5・カフェインのやめ方

 アドレナリンとカフェインの関係をお話しすると、「えっ!じゃあコーヒーやめます。」となる方がいますがちょっと待ってください。

 コーヒーをやめることが目的なのではないのです。

 毎日コーヒーを飲む必要が生じる状態、日常を維持するためにアドレナリンが出てしまう状態が問題なのですよね。

 この問題の方をさておいてコーヒーをやめることを優先してしまうと、コルチゾールが出にくいのにアドレナリンもうまく出せない状態となることがあり、日常生活が送れなくなることも起こり得ます。

 まずは低血糖を起こさないように食事を見直すこと、必要に応じて補食を行うことが大事です。この場合の「補食」とはお菓子などではなく、食事に準じるような軽食か、個々人に適切な量の炭水化物です。

 その上で、1日2杯以上摂取している方の場合は、数ヶ月から1年程度かけてゆっくりと減量し、最終的にやめていきます。

 カフェインは急激にやめると、離脱症状が起こる可能性があります。

 カフェインの離脱症状とは、頭痛や倦怠感、眠気、集中力や注意力の低下、不安やイライラ、睡眠障害などがありますが、大体1週間から10日で消失します。

 摂取回数や濃さを変えながらゆっくりやめましょう。

 コルチゾールが出にくいことが原因で摂取している方の場合、朝起きてすぐのコーヒーをいきなりやめてしまうと体が動かなくなることがありますので、とにかくいきなりやめないことが大事です。

 チョコレートにもカフェインが含まれ、同時に糖質も摂取できることから、副腎疲労では摂取量が増える傾向があります。

6・コーヒーを飲むなら

 取り合えず今すぐ摂取量を0にできない方は、以下に注意していただくと良いでしょう。

・水分摂取量
 カフェインには利尿作用がありますので、コーヒーを飲んだらその2倍の水分摂取が必要と言われています。
もちろんですが、ノンカフェインで摂取してください。
水、麦茶、ルイボスティー、小豆茶、黒豆茶、蕎麦茶、杜仲茶、柿の葉茶など。
ハーブティーはカフェインを含むものもありますので、お買い求めの際は注意してください。

・ミネラル摂取量
 カフェインによって利尿がつくと、体外にミネラルも排泄されてしまいます。
特に体内のあらゆる代謝に必要な、マグネシウムの排泄が亢進してしまいますので、お食事から積極的に摂取してくださいね。

※ココアはカフェインを含みます

・時間
 出来るだけ早い時間に摂取を終了した方が、睡眠中の自律神経に影響が出ません。
よく15時以降は飲まないほうが良いという話がありますが、個人的には12時までと思っています。
ですが、副腎疲労が進行した状態では16時の血糖値の維持が難しいので15時頃のコーヒーは欠かせないかもしれません。

7・デカフェならいいか?

 この質問は本当に多く聞かれます。
結論から言うと、2つの点でおすすめできません。

1)カビの問題
 コーヒー豆はどうしても輸入される段階でカビの問題があります。

 カビ毒というものは体内の解毒回路を阻害したり、カテコールアミンの変換を阻害したりと、私たちの心と体に影響を及ぼす、思ったよりヤバイやつなのです。
カビ毒をデトックスする治療では、コーヒーやナッツ類を控えるのですよ。

 実はコーヒー豆はカフェインがあれば豆の力でカビを抑えることができますが、デカフェ処理を行った豆にはその力が残っていないのです。

 デカフェのコーヒー豆全てにカビが影響しているとは限りませんが、コーヒーを摂取することでカビ毒摂取のリスクがあるのは事実ですので、さらにカビ発生リスクが高いデカフェを日常的に飲まない方が良いのではないかと思います。

2)カフェイン0ではない
 デカフェであっても、0.数%のカフェインは含まれています。一度しっかりカフェインを抜くとデカフェであっても影響を感じるようになる方が多いです。

 看護師はシフト勤務で自律神経の調整がつきにくいですから、飲み物でカフェインを補給してさらに撹乱するようなことがない方が良いと思います。

 カフェインレスを提案すると、デカフェならいいかという質問と同じくらい言われるのが、「コーヒーは抗酸化作用が強くて癌も糖尿病も予防するから体いよいと聞きました。」というものです。

 これは事実のようですが、カフェインから抗酸化物質などの利益を受け取れる体質と、そうでない体質があることもわかっていて、日本人は利益を受けられない体質の方が多いとも言われています。

 いずれにしても、アドレナリンドーピングが疑われる場合はそちらを解決しないと、癌や糖尿病につながる健康被害が生じます。

 抗酸化物質は、自律神経に作用しない食品からいくらでも摂取できます。(色鮮やかな野菜や果物を食べればOK)

 コーヒーの摂取量と飲んでいるタイミングを見直してみてくださいね。