#05 看護師さんの疲れはアレでわかる!
生活が不規則で食間が開きやすい看護師は、日常的にエネルギー不足を生じやすく、慢性的な疲労(消耗・エネルギー不足)状態であることが多いのです。
ですが、緊張の強い職業柄であることから、同時に抗ストレスホルモン(コルチゾール)が過剰で交感神経優位の状態にあるので、疲労(消耗・エネルギー不足)を自覚しにくいという傾向があります。
体感に頼らず、数値でそれを判断できる方法はないのでしょうか?
目次
1. ズバリ中性脂肪が教えてくれます!
血液検査結果の「中性脂肪」を読むことで、客観的に自分の疲労状態を確認することができます。
看護師は毎年1〜2回の職員健診で血液検査を受けているので、ここを確認しないのは損ですね。
血清の中性脂肪から、エネルギーを作り出す小器官であるミトコンドリアが元気か、1日の中で低血糖状態になっていないかを予測することができます。
これが心と体の疲労状態を作り出すものなのです。
この中性脂肪の読み方は、私が学んでいる分子栄養医学の考え方を基本としています。
多くの分子栄養医学クリニックで医師に採用されている解釈です。
ご注意)
一般医療の基準値とは若干違うものでありますが、上限値を逸脱する話ではありません。
今回はエネルギーが足りないケースの話なので、高中性脂肪の話は含まれていません。
高い分にはいいということでは無いのでご注意ください。
※この情報はご自身の健康管理にお役立てください。
疾患の治療においては主治医の指示を最優先としてください。
分子栄養医学的な中性脂肪の読み方を知ることで、自分の疲労状態(ミトコンドリア機能不全・低血糖状態)が確認できます。
疲労(消耗)状態にある場合の解決方法もご紹介して行きますので、最後までお読みいただけると、必ずあなたのお役に立てると思います。
2. 中性脂肪を読む前に大事なこと。
血液中の中性脂肪と言うのは直近の食事に大きく左右されますが、看護師の職員健診では病気診断の意味合いが薄れていることで、禁食12時間での採血も守られていないケースが多いのではないでしょうか?これでは自身の消耗状態を正確に把握することができません。
食べ物から補給された糖質が適正な場合、12時間以上禁食後の採血での中性脂肪(TG)は肝臓由来のものだけになっているはずなので、概ね100前後になる(高くても150を超えない)のが普通です。これより高値の場合は、食事からの中性脂肪が余っている状態(主に糖質過剰)を示しています。
つまり空腹時の中性脂肪はそのまま、自身の肝臓にある糖(グリコーゲン)の蓄えということになります。ここが低ければ蓄えが少ないということになります。
自分が消耗しエネルギー切れを起こしていないか、ミトコンドリアの機能が正常かを読み取るには、前日の夕食後から12時間以上の禁食で採血することが大事です。
3.中性脂肪の読み方・症状。
中性脂肪が低い場合は、1日のうちに何度か低血糖状態になっている可能性があります。
低血糖状態になると、心にも体にも様々な影響が起こってしまいます。
どうしてかというと、低血糖状態になることで血糖値を上昇させるホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリンなど)を分泌させるため、動悸・頭痛・発汗・イライラ・不安などが出現しやすくなるからなのです。これを繰り返すことによって全身的な消耗が増強して行くことにもなります。
ではここで、中性脂肪の読み方を解説します。
空腹時90以上が理想
70以下で黄色信号
50以下が赤信号
30以下は飢餓状態
中性脂肪が50以下であれば、1日のどこかで低血糖を起こしていてもおかしくはないと考えます。
30〜40台では1日に何度も低血糖を起こしていると考えて良いと言われています。(おそらく夜間は確実に起こしている。)
血清中性脂肪が70以下の方で疲労やメンタル的な不具合がある方は、低血糖状態を疑って対策をしていくと良いことがありますよ!
ヒトの細胞には、エネルギーを作り出すミトコンドリアという細胞小器官があります。
ミトコンドリアが元気なことと、私達がいきいきと元気に生活することには密接な関係があるのですが、このミトコンドリアも低血糖になると働きが低下してしまいます。
ミトコンドリアで作られるエネルギーは、私達が食べたものを材料に作られます。
中でも「糖質」で一番素早くそれを作ることができます。
長時間の空腹時には脂質も使用されますが、残念ながら現代人は脂質をエネルギーの原材料として上手に使える方ばかりではないので、糖質の補給を長時間絶たないことが安全です。
ミトコンドリアが元気にスムーズにエネルギーを作るためにも、低血糖を起こさない様に血糖値を維持することが重要ということですね。
中性脂肪が低いと低血糖を起こしやすく、ミトコンドリアの機能不全に繋がりやすいことがわかりました。
「げ!私、中性脂肪が低いんだけど!?」と思った貴方、大丈夫です。
ここからは中性脂肪適正化に向けたアプローチをご紹介して行きます。
4. 中性脂肪を上げる方法
1)できるだけ食間を空けないことを意識しましょう。
2)食間が6時間以上空く場合は、可能な限り少量の補食をしましょう。
忙しい方には一口サイズのおにぎりや甘栗、干し芋などがお勧めです。
お腹が張らないようなら蜂蜜を一口食べても良いですよ。
勤務中の補食が難しい場合は、まずは休日や勤務時間以外で食間を空けないこと、空く 場合はしっかり補食をすることから始めましょう。
とにかく1日の内に低血糖を起こさなければ起こさないほど、体内の中性脂肪が適正に なっていくことになるのです。
積み重ねて行きましょう。
3)寝る前の少量の補食
上白糖を使用していないもの、体を冷やさないもので補食します。
パンやお菓子類、アイスクリームなどではないということです。
澱粉がお勧めなので、芋やかぼちゃを蒸したものを少量摂るのも良いですね。
睡眠前にあまり固形物は入れたくない場合、お腹が張らないようなら蜂蜜がお勧めです。
※補食は糖尿病の方にはお勧めしていません。
4)飲酒は控える
飲酒は結果的に血糖値を下げてしまいます。
就寝前の飲酒は就寝中の低血糖を起こしやすいため、本来体を休める就寝時間に交感神経 優位の緊張状態が続いてしまい、日中の不調に繋がっていくことになり悪循環に入りま す。
5. まとめ
看護師は慢性的な消耗状態にある方が多いのに、慢性的にストレスフルであることから自身の低血糖状態やミトコンドリア機能低下に気づきにくい傾向があります。
定期的に行われる健康診断の中で「中性脂肪」の項目をチェックすることによって自身の消耗状態を把握することができますので確認してみましょう。
中性脂肪で自分の消耗状態を正確に把握するには、12時間以上の禁食を行い採血することが重要です。
すでに低血糖状態にある場合は、12時間以上の禁食は体調不良につながることがあります。
出勤日の午前中に採血を行う場合は、出勤してすぐに採血して就業開始前におにぎりを一口でも食べて頂くか、ココナッツオイルでレスキューをするのも有効です。
※詳しくは「チャプター4;疲れた看護師さんの強い味方」をご覧ください。