#12 痩せたいあなたに伝えたい。シフトで働く看護師に糖質制限ダイエットはNG!
糖質制限は一時のブームではなく、健康維持の食事法の一つとして定着していますね。
ダイエットとして取り組んでいる人も増えています。
看護師さんはシフト勤務によってHPA軸に変調(副腎疲労)を生じ、高コルチゾール状態になりやすく、これにより体内に炎症が起きやすくなって、太りやすくなることがあります。
〜副腎疲労について詳しくは、チャプター11『看護師さんの疲労の正体!』をご覧ください。〜
現在ダイエットにお悩みで、糖質制限を選択している方もいるのではないでしょうか?
ですが看護師さんにとって糖質制限は、もっと痩せにくい体質への引き金となってしまうことがあります。
看護師さんが糖質制限をすることで、どういったリスクがあるのでしょうか?
理想の体重になっても、健康を害する様では本末転倒ですよね。
糖質制限に頼らずに痩せ、体重を維持する方法があります。
詳しく生化学的な根拠に基づいて説明していきます。
本文を最後までお読みいただくことで、健康的に体重維持ができるようになりますよ。
目次
① 糖質制限はシフトで働く看護師の『副腎疲労』を悪化させる。
なぜ看護師に糖質制限がNGなのかといいますと、見出しの通り「副腎疲労が悪化するから」です。
副腎疲労があると、肝臓にグリコーゲンを貯蔵しづらくなり、進行すると糖新生もしにくくなってしまいます。
これらがうまくいかないと、低血糖を起こしてしまう、つまり「副腎疲労では低血糖が起きてしまう」と理解してください。
そうなると体は、アドレナリンを出して血糖値を維持します。
この状況では、普通の食事でも血糖値の乱高下(上限値も下限値も正常範囲を逸脱する状態)を起こしやすくなりますから、副腎疲労の進行と共にどんどんリバウンドしやすい体質になって行きます。
アドレナリンを出して日常を維持することを継続していると、副腎疲労が進行して行きますから、悪循環が完成してしまいます。
② 副腎疲労が悪化すると、食事の抑制が効きにくくなります。
①でもお話ししたように、副腎疲労が進行すると普通の食事でも血糖値の乱高下を起こしやすくなります。
そうなるとやがて、インスリン抵抗性(通常のインスリン量では細胞内にグルコースが取り込まれない)が生じます。
これだけでも「お菓子を食べ出したらとならない」という様な、食の抑制が利かない状態になります。
それだけでなく副腎疲労が長期になると、体タンパクの異化が亢進するのですが、これが原因でも食の抑制が効きにくくなるのです。
「体タンパクの異化」とは、自分の体のタンパク質量が減っていく、とイメージしてください。
副腎疲労では低血糖が起きやすいのですが、貯蔵グリコーゲンも乏しいために、糖新生での血糖維持が頻回に起こるようになっていきます。
糖新生とは、簡単に説明すると「自分の体のタンパク質(筋肉)をグルコースに変えて血糖値を維持する仕組みのこと」です。
看護師さんならお分かりだと思いますが、筋肉の細胞はインスリンの命令でグルコースを取り込みグリコーゲンとして貯蔵しますよね。
ということは、筋肉が減少してしまうと貯蔵先が減ってしまうのであぶれた糖で、食後の血糖値の急上昇を起こしやすいということであり、さらに空腹では蓄えがありませんのでバテやすい体質になってしまいます。
この状態ですと、徐々に炭水化物の過食になりやすくなってしまいます。
低血糖によるアドレナリン分泌によって、交感神経が優位な緊張状態が継続すると、筋肉だけでなく胃腸の粘膜も薄くなっていきます。
胃腸の粘膜が脆弱となることで、消化・吸収能力が低下して徐々にタンパク質が苦手となり、パンや麺、おにぎりやお寿司などの炭水化物主体の食事傾向となって、気がつけば太りやすい食生活になっていきます。
また、腸の粘膜が脆弱になることで「リーキーガットシンドローム」を引き起こし、毒素が門脈を通って肝臓に運ばれ肝機能も低下します。
そうなると、肝臓でのタンパクの同化や、グリコーゲンの貯蔵にも障害が起き・・・と、ダイエットにとって、どんどん悪循環が続いていきます。
筋肉が減少したり、肝臓の機能が低下した場合、貯蔵先がなくなったグルコースは、脂肪細胞に収納されます。
つまり、太るということですね。
ちなみにこの状態を形成している筋肉量の低下や肝機能の低下は、一般医療の基準では発見されることがほとんどありません。
本人の自覚としても、胃腸の不快症状や、肝機能低下の症状が無い人の方が多いのです。
③ 副腎疲労の状態で糖質制限を継続すると、甲状腺の機能に問題を起こすことがあります。
三大栄養素の中で、一番エネルギーを早く作れるのが「糖質」なのですが、この糖質を制限することでエネルギー産生効率が低下してしまい、体が「飢餓状態」と誤解し、代謝を低下させて生き延びようとすることがあります。
この状態を『甲状腺機能低下;特に低T3』と呼びます。
ですが、あと二つの栄養素、タンパク質と脂質があるじゃないか、そちらでエネルギーを産生すれば良いのでは?とお思いになるかもしれませんね。
実はこの二つの栄養素は糖質と比較してエネルギーにするためには手間がかかるということと、体質によってはうまく利用できない人も結構いるのです。
炭水化物でエネルギーを産生していた人が、いきなり糖質制限で脂質でエネルギーを産生しようとしてもうまく行かないことが多いのです。
それにもしエネルギー産生にタンパク質を使ってしまったら、体の組織の維持に使う分が減ってしまいます。
異化が亢進しているのにこれは避けたいですね。
この状態になると「普通に食べているだけなのに太る。」「水を飲んでも太る。」というような、ダイエットでは最も望ましくない状態になってしまうのです。
④ 糖質制限に頼らずダイエットするには?
答えは一つ、『糖質選択』です。
同じ糖質でも、血糖値の乱高下を起こしにくく体に炎症を起こしにくい糖質と、そうでない糖質があるのです。
体内に炎症があると、インスリン抵抗性が起こりやすくなるため、太りやすく痩せにくい体質になってしまいます。
炎症を起こさない食べ物、食べ方を選んでいきましょう。
血糖値の乱高下と炎症を生じやすくなる食材の代表は、「小麦:グルテン」「乳製品:カゼイン」と「砂糖・異性化糖・人工甘味料」です。
これらを多く使用したものを、出来るだけ避けていただくだけでも、体型維持には効果を発揮します。
具体的な商品)
〜血糖値の乱高下・炎症を起こし易い食材を使用したもの
パン、ケーキ、クッキーなどの洋菓子類、お饅頭、おはぎ、大福、お団子などの和菓子類、スナック菓子、アイス、プリン、ゼリー、加糖された清涼飲料水、牛乳、果糖ブドウ糖液糖や人工甘味料を使用した飲み物やタレ、ドレッシング、甘辛タレの食品、パスタ、うどん、ラーメン、素麺、お好み焼き、たこ焼き、餃子、焼売、ルウカレー、シチュー、ピザ、肉まんあんまんなどの中華まん、酢飯。
〜上記と比較して血糖値の乱高下・炎症を起こしにくい炭水化物
米飯、雑穀、十割そば、あわやひえ・米粉・豆類100%で作られた麺、さつまいも、かぼちゃなどの根野菜、栗、季節の果物(適量)、粗糖、味醂、純度の高い羅漢果。
米粉を多く使用する食べ物、特にパンやケーキなどは血糖値へのインパクトがありますので、食べる量とタイミングにご注意ください。(⑤へ)
⑤ 実は食べ順を守ることで、血糖値の乱高下はかなり防ぐことができます。
昔から言われていることですが、汁物⇨サラダ⇨タンパク質のおかず⇨炭水化物(米飯・デザート)の順で食べることで、血糖値の乱高下が起きにくくなることが知られています。
コース料理や懐石料理はこの順で出てきますよね。
人の脂肪が大きくなる(太る)のは、グルコースがインスリンの働きで脂肪細胞に取り込まれることで起こります。
短時間で一気に血糖値が上昇すればするほど、初期のインスリン応答が遅れてしまうので、インスリンが大量に分泌されることになります。
このような状態を繰り返すことにより、インスリン抵抗性が起きてくるわけですから、当然太りやすくなります。
血糖値の乱高下を起こしやすい食べ方があります。
『空きっ腹に糖質・炭水化物』
血糖値の乱高下を起こしやすいのですから、これが最強に太りやすい食べ方ということになります。
炭水化物の消化は主に唾液と膵液で行われますから、単独では胃の通過時間が速いのです。
食物繊維や、胃での消化に時間を要するタンパク質などと胃の中で一緒になることで、小腸でゆっくりと吸収されるようにできるのです。
食べ順とは、他の食べ物の消化時間の遅さを利用して、糖質の吸収を遅くするという作戦なんですね。
普通の方ですと、先に示した汁物から始めるやり方で良いですが、いつもそんなに品数が準備できないという方は、『おかずを先に食べる』という認識でOKです。
自然とパンや麺類、丼ものの選択肢が減っていきますよね。
小食の方は、汁物やサラダは後回しで、おかずからお召し上がりください。
そうしないと毎回汁物とサラダでお腹が満たされてしまい、必要なタンパク質や脂質、炭水化物の量が確保できなくなることがあります。
そしてこの食べ順は本当に馬鹿にできません。
私もリブレを装着して食べ順を守った時、守らなかった時の血糖値(細胞間質液)をチェックしたことがありますが、本当に違っていてびっくりしました。
⑥ 高コルチゾールをおさえる。
看護師さんは夜中にも仕事をする関係で、1日じゅうコルチゾール値が高めに推移することになりがちです。
実はこの状態が「副腎疲労の初期」なのです。
こうなると炎症が起きやすい体質となり、インスリン抵抗性から食欲の抑制が効きにくくなります。
リバウンドの原因となってしまいますので避けたいところですね。
高コルチゾール値を抑えるには運動です。
副腎疲労が進行し、コルチゾールの分泌が困難になってくると、アドレナリン欲しさの行動でスポーツに勤しんでいる方がいるのですが、その場合は過活動を抑制してゆったりとした軽い運動に変更してもらいます。
高コルチゾール値が継続している場合はその逆で、「最大心拍数の70〜80%で、40〜50分の運動を毎日」が勧められています。
一定の強度の運動でストレス反応を抑え、交感神経を鎮めてコルチゾールレベルを下げるのが狙いです。
夜勤明けに太陽の光を目に入れないことも大事です。
お買い物などには行かず、サングラスをかけて真っ直ぐに帰宅し、遮光カーテンを引いておやすみください。
正確にコルチゾールレベルが高いか低いかを見分けるには、『唾液コルチゾール検査』を受けることですが、自分の体感でもおおよそ予測することができます。
チャプター11『看護師さんの疲労の正体!』にチェックリストがありますので、気になる方はチェックしてみてください。
高コルチゾール状態では痩せにくく、リバウンドしやすい状態になってしまいますので、この状態は放置したくないですね。
⑦ まとめ
看護師さんは職業柄、太りやすくなる要因があります。
厳しい食事制限をして痩せても、しばらくしてリバウンドしてしまうことが多いのは、そのためなのです。
副腎疲労時の糖質制限では健康維持に問題が出るリスクが高まります。
糖質を味方につけて、健康的に体重を維持してくださいね。
血糖値にインパクトのある糖を卒業するのは苦しいこともあるでしょう。
特にグルテンフリーは根性では難しいことがあります。
小麦が使われているような体にインパクトが強い食べ物を欲してしまうことにも理由があるからなのです。
ipe栄養セラピーでは、小麦を欲しがる要因にアプローチします。
一人で悩まずに、ぜひご相談ください。